梅雨の合間の晴れた一日、いいものである。意外や湿度を感じないカラッとした晴れ間だ。カメラマンの世界では、抜けのいい空気感と言ったりする。散歩の時に、i Podをヘッドホンで聴くのが習慣になっている(このあたり賛否両論がありそうだが、今日のところはお許しを)。さて、この清々しさの中を歩くのにぴったりな音楽は、クラシックならビゼーのハ長調、ジャズならチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーといったところかな。カメラも持って出る。買ったばかりのミラーレス一眼で一番のコンパクト&軽量タイプ。写真として鑑賞するための被写体と、絵にするためのアングルは、違うようである。そこで、掲句だが、これはどちらにも相応しくなさそうだ。けれど、あの見慣れたはずの青い網が、やたらと気になってしまった。7/1(青時雨)
生ごみに網かけてある青時雨
仏国に咲く昼顔を憧憬す
「昼顔」と聞いてまず想い出すのは、歳時記さんゴメンナサイ、どうしてもイの一番はカトリーヌ・ドヌーブということになる。フランスの映画女優といえば、ブルジット・バルドー、ミレーユ・ダルク、ミレーヌ・ドモンジョ、マリー・ラフォレ、ジョアンナ・シムカス、クラウディア・カルディナーレと枚挙にいとまが無いが、やはりイの一番は「昼顔」を演じたカトリーヌ・ドヌーブということになるのだ。南佳孝の名曲「Route134」で古いスパイダーの助手席に座っている女性は、ドヌーブにそっくりのハーフの女の子に違いないのだ。永遠に続くさざ波の海岸線がよく似合う女性を、梅雨の入り口の季節に憧憬するのは、とってもお洒落なな心の動きかもしれないね。昼顔(6/22)
この星に侘ぶこと多い梅雨の入り
2012年6月15日午前11時半、大飯原発再稼働決定。テレビ報道が割いた時間は、おおむねオウム真理教徒高橋克也逮捕に1/2、消費税増税案の三党合意に1/3。そして、大飯原発再稼働決定は1/6であった。政治も、ジャーナリズムも(おっと、テレビは最早ジャーナリズムではないか)腐っているどころか、もっとしたたかに悪意を持って逆進している。掲句「多い」は「大飯」の語呂合わせである。チープと言わば言え、である。これほど言葉が軽くあしらわれた時代を目撃したことはない。恐怖感にも近い諦念を味あわされている。論点は人間性を捨てて安全性に矮小化した。梅雨の入り(6/18)