草の花摘む人嘘の上手い人

名も無い花を慈しむ人は、心やさしく思い清く、すべてに凛とした態度で接することの出来る、優しい人であると大方の人は思っている。そんなことはないのではないかと想定してみた。至極、納得が行くのではないだろうか。上手な嘘ほど、心に美しく入ってくる言葉はないだろうし、土壇場で一番必要とされるのも、上手な嘘ではないだろうか。凡人、名も無い花と摘む時には、何やら粗雑というか、無頓着というか、大切な繊細さを失っているように感じるのである。嘘の上手は大変な魅力というか、生きていく大きな武器でありそうだ。(8/21)

黙祷の無垢なる昇華甲子園

異論は承知のうえで言わせていただくと、オリンピックは国家対国家の代理戦争となってしまい、集団行動の美学など無くなってしまった。閉会式はともかく、開会式くらいはちゃんと行進してほしい。一糸乱れぬとまでは言わないが、少しは同じ頃に開催される日本の高校野球の入場行進に学んで欲しいと感じている。15日には黙祷がある。今の高校生にどれほどの実感があるかは想像もできないが、あれやこれやの小理屈を言わず黙って従う姿は、むしろ将来には濁りの無い自己を育てるという意味において、大きな実りをもたらすのではないだろうか。甲子園(8/9)

土用とは思えぬ凪の金曜日

おっと、忘れていた。この金曜日が土用の丑の日だったんだ。この日があるお陰で日本の鰻屋は繁盛し続けるのだろうから、平賀源内という御仁は大変な知恵者だったと言えよう。それにしても値上がりが凄いらしい。稚魚の不足が原因とのこと。アルバイトの時給は7円しか上がらないのに、鰻重2,500円は3,200円になっていた。そりゃあ台所事情は知る由もないが、違いが大き過ぎるとは誰もが感じる事だろう。相場師は千分の1秒で大儲けをするらしい。虚構が一番儲かって、人間が一番安値だという世の中になったのか。じっと海を見ているのが一番安堵できる時間のようである。土用(7/29)