声の散る寒晴れをこそ勇み足

こういう日があるのだと、つくずく感じ入るほどの雲一つない(こんな陳腐な形容も、今日なら許される)美しい日でありました。いつにはなく、もうちょっと先まで歩いてみようと思わせてくれるのです。普段はうるさくて仕方のない餓鬼どものさえずりが、今日は気持ちよく青空へ拡散してゆくのです。風皆無、太陽燦々、気持凛々、背筋矍鑠。ひとつ悪口を思いついて、ひとつ大きな深呼吸をして、それですべてが許されて。こうゆう清々しい一日に、この冬にもう何度出会えるのだろう。うん、冬は悪くない。いや、冬はいいもんだ。たわいもない感想文を長々と書いてしまった。寒晴れ(12/19)

照り返す屋根累々と冬の朝

朝、目覚めるとまず東側の窓を開けて朝日を部屋に入れ、存分な深呼吸をするのが日課となっている。マンションの六階からは、住宅街を見下ろす感じになる。どの屋根も朝日を浴びて、思わず目を細めてしまうほど眩しく輝いている。さて、その屋根の下ではどんな生活が営まれているのだろう、と記すと月並みになってしまうが、なんだかすべての生活を称えてあげたいような爽やかな明るさを感じるのである。一皮剥けば様々であろう生活の実態を、屋根は麗しく覆ってくれている。眩しい屋根がたくさん広がる朝の街を眺めると、つくずく心が洗われる。心を洗いたくなる。冬の朝(12/12)

銀杏燃ゆ国家の作図の美しく

美しい銀杏並木の代表格といえば、神宮外苑を嚆矢とするだろう。デートコースとして人気なのはもちろん、TVや映画のロケ地としても良く使われていることはご存知のとおりです。ここは陸軍青山練兵場の跡地であり、戦後利用方法は公募され、絵画館を中心にした明治神宮の外苑となった。並木道は、道幅も、高低も、木々の高さも微妙なパースが付けられており、視線のすべてが明治天皇を顕彰する絵画館へと収斂するように設計されている。権力というのは、どこまでも細やかな配慮をするものだなあと、ため息が出てしまう。そんなことはまったく知らなくて楽しむことは、それはそれで正しい行為かもしれない。意識的に行動してもどうにもならないのに、無意識のうちに消えていくもろもろの邪悪があることは、有り難いことである。銀杏(12/2)