「結構大変な手術になりますよ」と言われても、自分に降り掛かってきたのだというさしたる実感は無かった。そういうことは、いつか誰かに、そして自分にも、起っておかしくないことなのだから。愚妻も一緒に聞いていた。狼狽するかと思っていたら、「分かりました、手術をやりましょう」と、自分のことを自分で決めるようにキッパリと言った。なんだか嬉しく、有り難く、納得がいった。ベッドのある4階の個室からは正面に代々木、右手に新宿の高層ビル街が遠望できる絶景であった。さていつまでこの風景を楽しめるのやらと、不安というよりは、淡々とした感慨のようなものがあり、こういう出来事も味わえるところまではゆっくり味わってみようと思っている。無季(5/26)