春を浴ぶすべての石は活火山

電車に乗って非常ベルの近くに立つと、押してみたい衝動に駆られ、抑えるのが大変だ。駅のプラットフォームの端に立っていると、愚妻は「押したくなるから、やめて」と言う。人には人の不可思議な衝動があって、それはそれで納得できてしまうから不思議だ。もうひとつ妄想に近いものとして、石が爆発し燃え上がるというイメージが宿っている。石造建築物が、城の城壁が、敷き詰めた石畳が、突然に雄叫びを挙げるのである。都市にあっても、石の塊の中には恐ろしいほどのマグマが溜まっていて、きっかけさえあればと、機をうかがっているのである。(2/24)

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