立たぬもの総身に数え春立ちぬ

物忘れが激しくなったというのは、この世代が集まった時の共通話題であろう。悩むというよりは、当然のこととして引き受ける度量とか、逆に楽しんでしまう余裕とかの方が必要なのかもしれない。それだけでなく、叶わぬままに終わってしまいそうな人生の目標とか、「薬道楽病気自慢」となってしまった身体とか、指折り数えてしまう忸怩の思いが、両方の手を使わねばならない程になってきた。掲句は決してハメマラをテーマにした川柳などではなく、真摯な心情から発した諧謔である。かなり哀しくて、少し滑稽な、年齢相応の生真面目な真情吐露として読んでいただきたいのであります。(2/4)

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