飄々と詩がなき街を寒月と

「本当のことを言おうか 私は詩人ではないのだ」という谷川俊太郎の詩の一節に触れた時、畏怖の念にも近い感動を覚えたことを鮮明に記憶している。何をして詩人と規定するのか、詩は存在するが、詩人というものは存在できるのだろうか。鋭いものを突きつけられたようで、しばし身動きできなくなってしまった。それどころか、僕は知っていたのだ「僕にはやむにやまれぬ一行がない」ということを。なんという索漠とした認識であろう。かくして、詩を求めず、詩を模索する日々を送っている。自分に降りてきた言葉が、詩であるのかどうか、まったく測りかねているのだが、近頃は、それもまた良しと思ってもいる。(1/13)

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