懐かしき二八の春よいぬふぐり

卒業した高校は旧制中学だったので、校歌には漢語が多く含まれていた。入学してすぐの一学期の中間試験で、古語の問題に校歌から出題させるのは恒例で、学生の誰もが知っていた。「玲瓏」、「揺籃」、「翺翔」、「奇霊」、何でもござれで試験に臨んだ。おっ、出た。「二八の春とはどんな意味か答えよ」。「青春」と答えた。ところが〇ではなく△で答案は返されてきた。満点正解は「十六才」であると注解が付いていた。いやいや、その「十六才」が、意訳・飛躍して「青春」という世代全体を象徴しているのだと譲る気はなかったが、出題者が尊敬する文芸部顧問の瓜生先生だったので、ここはぐっと堪えて涙を呑んだ。
日本語には、「三々五々」、「四六時中」、「十中八九」、「七転八倒」など、数字を上手に使った熟語がたくさんある。そんなことを真剣に考えて時代が懐かしい。と思っていたら、近頃はそんな日々であるような気もして、気の持ちようが暖かくなってきた。いぬふぐり(2/24)

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