新宿に夜はあるのか煎胡麻茶

朝起き出したらまず一番に、野菜と果物の混合ジュースを作り始める。退院後は身体に良いものを摂るというのが、まず第一義の生活指針となってしまった。後遺症である胃腸の不調に応えなければならない。癌の再発に備えなければならない。血糖値の上昇を抑えなければならない。なにかと多目的な生活設計を強いられているのである。いい店で、良き友と、旨い酒を酌み交わし、愉快な会話に興じるというような事は、もう僕の人生には無いのだろうか。そう思うと、ちょっぴり寂しいような気もするが、個々の人生とは、そうは意のままに行かないもので、そこのところに妙味というものも潜んでいるのかもしれない。まあ、引き受けた状況を楽しむというのが肝要な、あるいは求められる才能ということではないだろうか。馴れてくると、白胡麻を煎ったお茶も不味くはないのである。胡麻(8/31)

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