ゆうれいも千鳥足なる方代忌

8月19日は、漂白の歌人山崎方代の逝去した日である。俳人なら忌日とされるところ。かなり真面目で、ちょっと可笑しくて。かなり傍迷惑で、ちょっと面倒見が良くて。かなり偏屈で、ちょっとダンディで、かなり不幸で、ちょっと幸福だった方代さん。「ふるさとの右左口郷(うばくちむら)は骨壺の底にゆられてわがかえる村」「いちどだけほんたうの恋がありまして南天の実が知っておりまする」「茶碗の底に梅干の種二つ並びおるああこれが愛と云うものだ」「遠い遠い空をうしろにブランコが一人の少女を待っておる」。どの歌にも、煩悩と叙情と、覆面と素顔と、シリアスとユーモアと、希求と断念とが満ち溢れていて、我が胸も共振してしまう。ゆうれい(8/19)

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